映画祭ブログ

自己紹介シリーズ:宇多 滋樹(理事)

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中学生のころ住んでいた大阪府下の枚方市から、
月に一度は自転車に乗って奈良にやってきました。
古代史や社寺に特別興味があるわけではなく、
ただなんとなく奈良公園、西ノ京、斑鳩のあたりをぶらぶらしていただけでした。

大阪のどぶ川の臭いをかぎながら育った私は、奈良の空気を求めていた気がします。
思春期で考えることが多いころなので、
一人で社寺の参道の砂を音たてながら歩くのが好きでした。
もう50年近く前のことになります。

所帯をもった30年前に奈良へやってきました。
当たり前のように奈良旧市街近くの住宅に住みました。
雨上がりに春日山に湧き立つ霧が水墨画のように美しく、
鳥や虫の声が聞き取れる静寂がまだ残っていました。

2001年、河瀬直美監督の『火垂』を観ました。
映画の冒頭とラストシーンでは、東大寺二月堂お水取りの松明の炎から、
人々のかぼそい命のような火の粉が舞い落ちていました。
群舞する火の粉の一粒が自分であるように思えてなりませんでした。

続く『沙羅双樹』でスタッフの一員としてかかわり、
2007年度カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『殯の森』で
主演という大役を担いました。

[ 事務局注釈※宇多理事は、NARAtiveプロジェクトで製作中の
 『光男の栗』にも、俳優として出演中。
  写真:チャオ・イエ監督(左)と宇多理事 ]
 

uda-02.jpg映画は人々を日常では味わえない別世界へと誘う娯楽面と、人々に生きるための思索と勇気を与える面を併せ持っています。
私は63年間生きてきました。
最近特に、娯楽より思索することに重点をおいた映画を選択して観ています。
私は未知なる世界に出会うために、もっと映画にかかわっていきたいと考えています。

長い歴史に育まれた奈良の地で、映画芸術のジャンルにおいて、
世界の人たちが出会える磁場のような「なら国際映画祭」の実現へ、
微力を尽くそうと思っています。

宇多滋樹(ならまち文庫 古書喫茶ちちろ 代表 / 俳優)

 

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