映画祭ブログ

自己紹介シリーズ:中野 聖子(理事)

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生まれた家は、映画館でした。
なんでも、大正時代に奈良で初めて映画をかけた小屋だったそうです。

幼子をかかえた若夫婦の部屋は、映画館の2階にあって、
階段の踊場を隔てた向こうに映写室がありました。

銀色の缶に入った重たいフィルムを
国鉄奈良駅の日通さんまで受け取りに行く
父のバイクに乗せてもらうのが好きでした。
帰り道はフィルムの上に乗って帰りました。

映画館の入口で、遊んでいました。
大きな刷毛で大きなポスターを貼るおおっちゃんをかっこいいと思いました。
券売場のおばあちゃんの隣に座っていました。
売店のおばちゃんにおやつをご馳走になりました。
バイクの映画を何回も観に来る高校生が後に映画監督になったりしました。

大きな木造建築の映画館は時代の波に淘汰され、
中学生の頃、家業はホテルになりました。

自分でお金を払って映画を観るようになったのは、
それから何年もたってからです。

暗闇の中で大きなスクリーンに映し出される映像を見ることは、
とても贅沢な満ち足りた時間で、
安心して自分の感情と向き合える時間でもありました。


ホテルで働き出すと、奈良を撮影に来る方々をお迎えする立場になることがちらほらありました。
愛してやまない奈良の景色を、映像にして発信してくださる方々のお仕事を
かげながらお手伝いできることは、映画館で育った私としては、・・・まさに感無量。

その映像は、映画だったり、TV番組だったり、CMだったり、教育資料映像だったり、様々ですが、
奈良の景色が映像になる、ただそれだけで、なぜかいつも「やったー!」と思ってしまいます。

この「やったー!」がもっと奈良に広まればいいのに。

この度なら国際映画祭に関わらせて頂くことになり、
複雑に絡み合った因縁を驚きとともに有難く感じております。

世界から奈良へ多くの人々が集い、
奈良から世界へ多くの人々が出て行く、
そんな嬉しい循環を作り出すことが出来ますようにと祈りつつ。

とにかくまずは第一歩目を踏み出すことできますように。


中野 聖子(ホテルサンルート奈良 専務取締役)

« 自己紹介シリーズ:山田 善久(理事) | メインページ | | 新聞掲載情報:本日1/25付 日本経済新聞にご注目! »

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